復讐屋―儚く、朧気に―




「自己紹介が遅れて申し訳ございません。
僕、"復讐屋"の店長をしております、南乗(ナノリ)と申します。
気軽に、南乗とお呼び下さい。」



ペコリ、と頭を下げてくる南乗さんに、私もペコリと頭を下げる。



「香取愛美です」


「こちらは、従業員の和兎(ワト)くんです」



深緑色の髪の美青年は、紅茶を私と南乗さんの前に置きながら、和兎です。と名乗った。


そして和兎さんは、南乗さんの斜め後ろに立った。



「香取愛美さん。貴女は復讐を望むということで、よろしいですか?」



南乗さんが聞いてくることに、こくん、と頷いた。



「はい。ですが、詳しく復讐屋について、お話が聞きたくてきました」


「話ですね」



分かりました。と南乗さんは微笑む。


そして、一つ、質問させていただいてもよろしいですか?と聞かれた。


それに頷くと、ありがとうございますと言われた。



「復讐屋は、どこで知りましたか?」



そこで、昨日の少年を思い出す。



「昨日の大学の帰り、黒い髪の迷子の小学生くらいの男の子をここまで届けたんです。
その時に、お礼にとくれたのが、ここのチラシだったんです」


バッグからそのチラシをだして見せる。



「嗚呼、瑠璃くんでしたか。すみません、ここまで連れてきてくださって。
和兎くん、瑠璃くん呼んできて貰ってもいいですか?」


「うん。あ、多分紬と一緒にいるけど、どうする?」


「紬くんがいないと瑠璃くん拗ねちゃうから、一緒にきてもらって」



はーい。と緩い返事をした和兎さんは、私に一礼して白いドアへと消えた。



「その子、瑠璃(ルリ)くんっていうんです。瑠璃くん、かわいいでしょう?」



「はい。美少年でした」



昨日の瑠璃という少年の容姿を思い出してると、ドアが開いた。



そこから出てきたのは、紫色の髪の美青年に抱かれた瑠璃くんだった。