次の日、私はあのビルの前に立っている。
「最上階だよね。復讐屋」
一人、呟くと、中へ入る。
エレベーターがある。
乗り、最上階のボタンを押すと、動き出す。
長いような、短いようなで最上階についた。
真っ直ぐ続く廊下があって、その先に黒いドアがあった。
白いプレートに赤い文字で"復讐屋"と書かれており、営業中の文字もあった。
今になって思ったけど……事前に連絡してないけど、大丈夫よね?
少し不安を持ちながらも、扉を開けた。
カランカラン、と音をたてて開いたドア。
一部屋になっていて、物が少なくシンプルだ。
キッチンとソファーが足の短いローテーブルを挟むように二つあるだけ。
そして、部屋の奥には、白いドアがある。
ほー。っと、部屋を見渡していると、キッチンから男の人が出てきた。
爽やか系のイケメンで、優しそうな雰囲気が漂う。
大学にいたら、絶対にモテる。
「いらっしゃいませ。お越し頂き、ありがとうございます。復讐屋へようこそ」
にこり、と微笑みいう彼に、思わず見惚れた。
「どうぞ、お掛けください」
「あ……はい」
黒いソファーに腰かける。
イケメンさんは、壁にかかっていた金属を、チリーンと鳴らすと、私の向かい側に座った。
「ここまでくるの、怖かったでしょう」
友好的に話し掛けてくるイケメンさんに、私は肩の力を抜いた。
「はい。まあ、怖かったです」
「ですよね。僕、結構ここにいるんですけど、やっぱりまだ慣れないんです」
じゃあ、どうしてここにいるんですか?と聞こうとする前に、白いドアが開いた。
「南乗さん。自己紹介しなくちゃ」
「あ、そっか。」
そこから現れたのは、深緑色の髪をした美青年だった。
高校生くらいの青年は、片手にお盆を持って、その上に紅茶を置いていた。



