復讐屋―儚く、朧気に―




no side
└夢生


三竹絵美は困惑していた。目の前の美青年に。


結構ドライな彼女は、美少女でありながら、そのドライ過ぎたせいで、彼氏が出来てもすぐ別れてしまった。

彼女自身、男のそういう部分ばかり見てきたせいで、男嫌い気味になっていた。

が、そんなことすら忘れてしまうほど、彼は美しかった。


出会ったのは、絵美が先程ナンパされていたときだ。

すっかり迷惑していた絵美を助けたのが彼だった。

ついつい、お礼にお茶しませんか?と誘ってしまうほど、格好よかった。


とりあえず、近くの喫茶店に入った二人。


絵美はどこかそわそわしながら、夢生を見た。


「あの、さ、先程はありがとうございました」


ペコリ、と頭を下げると、いえいえ、と首を横に振られた。



「ボク、困ってる女の人みると放っておけなくて。ああいうの、迷惑ですよね」


「そうなんです。ああいう人に限って、付き合うと此方の性格に文句つけて別れるんですよ」


そうなのだ。絵美のそのドライで冷たい性格に驚き、外見は可愛いのに……というように別れるようになったのだ。

絵美はその事を思いだしながら、はあ、と溜め息をつく。


「ご経験がおありですか。大変ですね、お互いに……。あ、ボク、夢生と申します。堤崎夢生です」


「私は三竹絵美といいます」



今さらながら、お互いに自己紹介をする。

気が合うようで、会話がドンドン弾む。


「へえ。絵美さんて、幼なじみさんのことが好きなんだ」


「ええ。その幼なじみが鈍感すぎて困ってるんだけどねー」


絵美は誰にも打ち明けれなかったことを、どんどん話してしまう。

元々親友だった香取愛美にも言えなかったことが……。

そこでふと、思う。


─愛美と私って、親友なの……?そこまで仲良かったっけ?




と。