復讐屋―儚く、朧気に―




小虎は、ハートが射ぬかれたような気持ちになった。

それほどまでに理夢は小虎の好み、ドストライクだったのだ。


「大丈夫よ。ありがとう、理夢。あ、あの、すみませんでした」


ペコリ、と頭を下げてくるセリナに、小虎はいえいえと首を振る。



「俺の方こそすみません。ケガとかないですか?」


「あ、庇ってくれたおかげで、なんとも」


「そうですか」



ハハハ、と爽やかに会話を交わしていた二人だったが、それが面白くない三香子は、ぐいぐい小虎の腕を引っ張った。


「小虎くん。はやくいこぉ?」


「え、ああ、うん……。それじゃあ、すみませんでした」



名残惜しそうに小虎はセリナたちに会釈すると、三香子に引っ張られて消えていった。


セリナは笑顔をすっと消すと、髪をかき上げた。


「ありゃ、強烈だね。しばさききみこ、だっけ?」


「きみ、こちが、う。みか、こ」


「みかこか。ややこしいなあ」



はあ、と溜め息をつきながらセリナ─眞瀬は理夢─瑠璃の手をとり、近くの公園のトイレにはいる。


数分後、いつもの格好に戻った二人は、ぐーっと伸びをする。



「今日はこれでおしまいかな。明日、お礼にお茶でもしませんかー?って、聞きにいこう」



コクり、と頷いた瑠璃を一瞥すると、眞瀬はどこかに電話をかける。



「もしもしー?抹李ぃー?迎えきてー」



─その頃の夢生─紬はというと……?