「まあまあ、抹李。落ち着いてよ、ね?」
「南乗さん…。はあ、たく……南乗さんに免じて許してやるよ。
それより……めくるは?」
「めくるくん?めくるくんは今銀くんと一緒にいるんじゃないかな?」
銀(ギン)と?と抹李はギロリと南乗を見る。
ちなみに、睨んでいるのではなく、目が切れ長で鋭いので睨んでいるように見えるのだ。
「なら、安心だな」
「ほんと、抹李はめくる大好きだよねぇ!」
「めくるは可愛いからな。眞瀬よりずっと素直で優しい」
世で言う、イケメンと呼ばれる彼は、照れた顔もイケメンだった。
「…応接室でなにやってるの?南乗さんも眞瀬も抹李も」
「……客来たらどうすんだよ」
「あ、和兎くんと夜兎くん」
南乗は、自分がさっき言ったことを言われ、恥ずかしくなり顔を赤く染めながらいった。
和兎と夜兎は双子だ。
夜兎が兄で和兎が弟。
二卵性双生児の為顔は似ていない、性格も似ていないが……。
「よぉ、夜兎」
「……抹李、お前、今日学校サボっただろ?俺が寺坂(テラサカ)に色々言われたんだからな」
寺坂とは、彼らが通う学校の先生で夜兎と抹李の担任である。
眞瀬は中学二年生、抹李と夜兎と和兎は高校二年生、南乗は大学一年生だ。
ちなみに、銀は高校三年生、めくるは中学一年生だ。
「サボったの!?抹李くん!行ったって言ってたじゃん!」
南乗は驚愕の眼差しで抹李を見る。
そんな南乗を眞瀬はちらっと見た。
「南乗さん、こいつ、今日ずっとサボってたよ」
「嘘ついたの!?…もー、ダメじゃん!めくるくんにしかってもらうからね!」
「いや、それはちょっとやめてくんね?」
抹李は、げっ。とした顔で顔を潜める。
「抹李お兄ちゃん?なにをやめるの?」
め く る 登 場 。