次の日、私はルンルンしながら駅前にいた。
時刻は午後一時三十分。
約束の三十分前だけど、待ってる時間も苦にならない。
手鏡で顔を見て化粧崩れしてないかチェックする。
私の今日の服装は、淡いピンク色のセーターに黄色のスカート、白いタイツをはいて、ピンク色のパンプス。
オレンジ色のピーコートを上から羽織る。
髪の毛は左右でしばって、白いニット帽を被る。
ちょっと、気合い入れすぎちゃったかな?なんていって見せる。
だって、デートだよ?(※違います)気合い入れなきゃだめじゃん!!
ちょっと、鼻歌混じりに残りの時間を待っていると、わあっ!!と黄色い声が上がった。
そこをひょこっと見てみると、紬さんの姿があった。
胸元が大きく開いた黒いシャツ、その下にはタンクトップを着ているのか、白と黒のタンクトップが覗く。
ジーンズをはいて、黒いハイカットのシューズ。
黒紫色の髪を気だるげに左耳にかけてピンでとめている。
そこから覗く、赤と紫のピアス。
思わず、見とれてしまった。
周りを見れば、女は勿論、男までもがその姿に釘付けだ。
むっとした私は、紬さんに手をふった。
「紬さぁん!!」
大きな声で呼ぶと、こちらを見た紬は駆け足でこちらに向かってくる。
「……すみません。待ちましたよね」
申し訳なさそうに謝ってくる紬さんに、ぶんぶん首を横にふる。
「ううん!全然!」
「それなら、よかったです。あ、その服似合ってますね」
ちらっと服を見て誉めてくれる紬さんに、胸がきゅんとした。
顔が熱くなるのを感じる。
すると、紬さんがまた申し訳なさそうにこちらを伺ってくる。
「…あの、実は今日、瑠璃にも同伴を願いたいんですけどいいですか?」
え、と思った。
本当は嫌だけど、嫌っていったら嫌われちゃうから、こくり、と頷く。
すみません、と紬さんは頷くと、どこかに電話をかけた。
「……瑠璃?来い」
それだけ言うと、そうそうに切ってしまった。
すると、暫くしてから、また騒ぎが起こった。
「きゃあっ!!かわいい~!」
「癒される~」
「なにあの子可愛すぎる!ほしい!!」
なにやら、小動物のような子っぽい。
騒ぎの中心を見てみると、そこには美少女……いや、美少年がいた。