「南乗さぁん!ただいま帰りましたぁ~!」



カラァン、と音をたてて開いたドア。


そこから出てきたのは、ピンク色の髪をした少女の格好をした中学生くらいの少年だった。


片手には茶色の長い鬘(かつら)を持っている。


セーラー服を着た彼が鬘を被っていたら、完璧女子と間違える所だっだろう。


そのくらい、女顔で美少年だった。



「眞瀬くん、もっと静かに入ってきてね。お客さんがいたら迷惑かかるでしょ?」



部屋の奥から現れた、大学生くらいの美青年は苦笑して注意した。



「はぁい」


「反省してないよね?…って、あれ?抹李くんは?迎えいってあげてって頼んだんだけどなぁ」



むぅ。と唸りながら南乗(ナノリ)と呼ばれた青年は眞瀬(マセ)と呼ばれた少年に問う。



「抹李?しーらない。ってか、迎えなら夜兎お兄ちゃんか和兎お兄ちゃんが良かった!」


「おい、クソガキ。
俺だっててめぇみたいなの南乗さんの頼みじゃなきゃ迎えに行かなかったっての!」




けっ!と吐き捨てるように言った抹李(マツリ)という高校生くらいの美青年は、前髪をかきあげながらいった。