大雨の降る中、一組の男女が走っていた。『逃げろ!早く…早く遠くへ!俺はここで奴らを引きつけるから!!』
ドンッと背中を押されコケそうになる。何とか踏みとどまり振り返って叫ぶ。
『嫌!ロベル!あなたも一緒に…!』
『いいから!逃げろ!ここで二人とも死んだら何のために…何のために組織から脱走したのか分からなくなる!君さえ生きていればそれでいいんだ!この街のすぐ外に馬車を待たせている…そこまで何とか逃げてくれ!』
ロベルの必死の声を聞き泣きそうになる。
『ぅぅ…ロベル…どうか死なないで…。』
そう言い残しザーザーと雨が降る夜更けの街中をひたすら駆け抜ける。背後ではキンッキンッと鉄と鉄の打ち合う音が鳴っていた。
『はぁ…はぁ…あと少し…!』街のアーチ状の入口の外に馬車が見えた。
『あれがロベルの言っていた馬車ね…あれに乗りさえすれば…!』走る、走る。
息を切らしながらなんとか馬車までたどり着き御者に声をかけた。