「あ、うん」

昌希くんはすぐに帰っていった。
シーンと静まる病室を見回す
…あれ、何で泣いてるんだろ。
涙が流れるのを拭えないから…シーツが濡れていく

「…また来てごめんな、愛麗」

「!?は、蓮琉さん?」

「泣いたのか?」

…一番見つかりたくない人がやって来た。
何で、このタイミングなわけ?
自分でどうにも出来ないこの体を憎む。

「…何かあった?」

「っ…来ないでよ…来ないで、欲しかった
泣いてるのなんて見られたくなかった」

蓮琉さんは、そっと、私の頬を伝う涙を拭ってくれたんだ。
温かくて…優しくて、余計に泣く。

「…友達が」

「犯人だったんだ…愛麗を落とした」

「…でも、許せたよ?いいよって…言えた」

「嘘つくぐらい…なら、友達辞めちゃえ」

「蓮琉さん?…何言ってるんですか」

「…許せなかったろ?…ムカついたろ?」

…何で、そこまでわかるんですか
何で、見破っちゃうんですか…
どうして、こんなこと言えるの?

「…本気で許せる時に許すのがいいんじゃねぇか?
それが、遅くたって仕方ないとは思わないか?」

「うぅ……は、る…さん…」

「…退院する時くらいに、決めたらどうだ?」

「…は、い」

そばにいてやるって、蓮琉さんはずっと隣で手を握っていてくれた
気づいたら眠っていたようだ。