裏道を使い、家まで送ってもらった。
気をつけるんだよって、私に言った。

「そんな顔しないの。可愛い顔が台無しだよ。」

「…今日は、ありがとうございました。」

「またね。何かあったら電話してよ。ね?」

部屋に行き、椅子に座る。握っていてくれた手を見る。
今日のことを考えていると…
自然と涙が込上げる。…何で、翔惟くんが
こんなところまで来たのかな。
邪魔をしに来たんだよね。でも、確か引っ越して…

【愛麗、今泣いてんのか?】

…え?佐久間さん?
今見ているかの様な言葉。見透かされている気分。
どうして、このタイミングなの?
…話したくなっちゃうじゃん。
翔惟くんが、近くにいるかと思うとゾッとする。
あの笑顔は悪魔の微笑みだよ…
翔惟くんの気持ちなんか応えられるわけないのに。
何回謝ったんだろう。そんなことすら覚えてない。
ただ、ひたすら謝ったんだと思う。

【おーい。寝ちゃったのー?】

【起きてますよ。】

【明日、迎えに行っていい?学校に】

【…お願いします。】

【朝も、送ってあげようか?歩きだけど】

やっぱり、優しいよ。
佐久間さんに、甘えてしまう。
弱いな…こういうところ。

【じゃあ、その時間に。おやすみ!】

…たくさん甘えて、今度はちゃんとお礼しないとな。