『……そっか……』


たぶんラブちゃんは気を利かせてくれたのだ
だから電話なのだ
教室だったら耐えられないもの


電話だから、いま、自分の気持ちを正直に言えるかもしれない


自分のものとは思えないくらい
素直な言葉が続いた


『……ラブちゃん……私ね、すっごく酷い女なの。他人を利用するだけ利用して、私は何にも出来ないの。弱くて、醜いの……』



吐いた言葉のラストは消えかけていた
私は泣いていたのだ


『ユズキ………』


ラブちゃんの声は不安そうに乱れた

しばらくの沈黙を破ったのは
彼女の方だった

『……辛かったね。まさか、あの長門先輩が駅前のあんな目立つところで、彼女にキスするなんてびっくりだよね』



その時、私の涙は一瞬で枯れた。