入学式帰りの学生が群がるなかを駆け抜けひとまずなんとか星の実家である道場にたどり着いた。


「はあはあ…ここまでくれば安心だ。」


早足で駆け込み呼吸を整えつつ星はほっと安堵の息をついた。


「そーだね。 あっ………!!」



周りを見渡す皐月の突然の言葉に星は思わずビクリと体を反応させた。


「ど、どーした?」



「あっ………。うん、道場からいま声聞こえてきたから誰かいるのかな?って思って…。」


「えっ??」


周りの事を察する余裕なんてなくて皐月から言われるまで気付かなかったけど、星は何気に道場の方へと耳をすますと「やっー!!」と素振りの音と掛け声に気づく。


「ほんとだ!! 誰か門下生かな?」


「ねっー。」


皐月は瞳を輝かせながら興味深そうに道場をみつめた。