さわさわと温かく心地のよい風が枝を揺らし桜の花びらが舞う。


「「やべえ!! 遅刻だ!!」」


勢いよく玄関を飛び出しそのまま走り出す俺、
高良 星〈タカラ セイ〉――。


今年、あの受験難関校と言われている私立 陽炎聖堂学園 高等部に無事合格して無事に今日という入学式を迎えたというのに朝の準備に追われてこうして学校までの道のりを全速力で走る羽目になっている。


えっ??そんなの……親に任せりゃいいだろう?って??

俺の両親は爆発事故に巻き込まれて幼い4人の妹達を残して亡くなったから俺…姉貴、そして家長であるお祖父様と家事分担しながら過ごしてきた。


悪いこと聞いたなんて思わないでくれよな!!
逆に俺がやりにくくなるからさ!!


「おーい!! 星くん!!」


古い年代を感じさせる車の窓から顔を出すおっさん二人組に呼び止められて俺は足をとめる。