「星くん!!」

突然、握られた手をぎゅっ……と握り返してとにかく星の背中を追いかけながら二人は教室をぐんぐん抜けて今朝あった校門の桜並木まで走ってきた。


「まったく……あんな連中と同じクラスなんて参ったよな……。」


全速力で追っ手を撒いたせいか肩で息をしながら制服のネクタイを緩めたのに皐月は思わず顔を紅潮させてとっさに身を翻した。



「………なんかごめんな!! あいつらの言ってる事気にしなくていいから!!」


そんな皐月の態度に星は頭の上に手をおいて髪をくしゃっ…と撫でた。



桜の花びらが風に靡かれて二人の間をすり抜けていくその景色を二人は一瞬時がとまったようにみつめているなか……少し離れたところから止まっていた車内から二人の姿にピントを絞り静かにシャッターをきる気配すらもかくしこれからの行く末を暗示するかのように桜並木の花びらは渦巻きながら空へと舞っていった。