生まれた時から、私は害虫のように扱われてきた。
右と左で違う瞳…猫のようなそれを気味悪がり、子供はおろか、大人ですら私に近寄ろうとはしなかった。
『金と銀の瞳は、災いを呼ぶ』
そんな噂が出回ってからは、両親ですら私を疎んだ。
私は酷い虐待に遭った。
毎日が地獄だった。
殴られ、蹴られて。
散々いためつけられる日々に最早日常すら感じ始めた私は、何故痛めつけられるのかも分からなかった。
一家で引っ越した先では、私は自由に外に出ることはおろか、窓のある部屋にすらあまり出してもらえなかった。
首輪をつけられ、物置に繋がれた。
食事は1日二回。
それすらだんだん少なくなっていって、私は空腹で何度も眠れない夜を過ごした。
あるとき、両親が死んだ。
私には姉がいた。
成人していた姉に私は引き取られ、そして。
売られた。
姉は知っていたのだ、美術品として価値のある私の瞳を。
私はほかにもいた何人かの子供達といっしょにコンテナに入れられ、輸送された。
でもいくつかの港の内の1つ、そこで私は逃げ出した。


