「…」
うるさい雑魚ども♪
という文字が空中で大爆発した。
相変わらず表情より文章が感情を持ってしまっているが、セレンはその左指先で短剣をいじくりまわしつつ右手で槍玉(ランスボール)を作ってニヤリと…
「槍玉」
笑んだ顔の形をした玉に仕上げて相手の中心部分に無理矢理ぶっこみ爆発させた。
セレンはこれでも手加減しているのだ…本気でやればこんなのは一瞬で消し飛ばせる。
「…多い、な」
だんだん飽きてきたらしく、セレンは三角座りで左手は移動系魔法、右手は攻撃系魔法を操っていた。
ちょっと寝ても良いだろうか…ご主人様は誰も見てないし…ちょっとくらい良いだろうか…駄目かな…
セレンは考えた挙げ句戦闘中に寝るのは相手にも失礼だし、不謹慎だと思い直した。
「…」
声を出すのがだんだん面倒になってきたのがいけなかった、無言魔法を使いまくっていると少しずつ眠くなるのだ。
「…」
いけない、ご主人様がいないと気が緩んでしまう。
「…」
ご主人様のところにいかないと…眠い、寝てしまう。
「…」
よっしゃ無言魔法禁止だこれで眠くならないぞいぇーい。
勝手に縛りプレイアクションゲームみたいなことを考えついて声だしをし始めたセレン。
「…三色…三…か…く…」
いけない、ご主人様俺寝そう。
ご主人様会いたい。
不謹慎な俺を叱って欲しい。
じゃないと睡魔に勝てない。
「…いどうまほぉ…短…剣…操作…七乱舞…(セブンナイフコントロールクレイジーダンス)」
ご主人様…あぁだめだご主人様って言ったらキングに怒られるんだった…
「くぁ…あ…」
でもいいか心の中だし…
「…こぉげ…き…ま…ほぉ…さぁんだぁ…」
ごしゅじんさふぁ…
実は睡魔は連日の徹夜に加え滅茶苦茶な魔法の使用に直結していたのだが、セレンは全く気がついていない。
晴天の五時間目の授業の如く、目は閉じかけている。
だがここで寝てしまったら文字通り寝首をかかれるのだ、セレンは耐えていた。
ふらふらしだすセレンにそれでも勝てない雑魚達はほぼ特攻状態だった。


