「竜革、ですか?」
アクアはそう呟いた。
「最強の皮」
ウィングは言った。
「てか、アクアちゃん怪我は本当にないのかよ?」
「はい!ずっと気絶してました!」
「いやそれは元気に言うことなのかいささか疑問なんだけど…」
てか、可愛すぎだし。
「アクア避けろ!!」
反射的にのけ反ったアクアに、襲い掛かる槍の切っ先。
現れたセレンに、アクアはポッと赤くなる。
「あ…はい…」
ウィングが歯ぎしりしていたことなんて、アクアは知らないだろう。
「…はっ」
槍を打ち捨て短剣二本で戦いだした相手に、セレンは素手で応戦する。
右、左、次は同時…
音と空気の流れで、もう目で追っている暇はない。
たまにくるりと後ろを向くのが厄介だった。
好き勝手な方向にナイフを投げるのだ。
「おいへリオ…」
へリオも加わりこちらも素手だ。
「気を付けろ…」
「分かってるって過保護」
ダンダンダンと激しく降ってくる斬撃の雨。
受けるのが二人になっても、劣勢は変わらない。
「おい待て…おかしいだろ…っ」
「…」
「なんで疲れねぇ…っ!」
「分身だろ」
端的にそう言って、セレンは今度は左ストレートを叩きこむ。
「ドッペルゲンガーに入れ替わってる」
「はぁ!?」
「だが出せるのは一体だけ、そうだろう」
最後のは問いかけだったが、にっこりと笑顔で返された。
「さぁな?」


