「さぁーてと。大ボスさんはどこにいらっしゃるのかねぇ?」
「…僕はまだ一言も言ってないからね、協力しないからね」
「じゃあその辺で待ってろ回復ヒツジ。ウールでも売って稼いどけ」
「ひつ…!!」
「…」
ウィングの軽口に、サテは傷ついた。
セレンはじっと二人を見ている。
「…待てよ、お前には会ったことなんてないぞ!?初対面だぞ!?初対面でその無礼さとはどういうことだこの…」
サテはぶつぶつ言っている。
セレンはじっとサテを見ていた。
「…」
「…」
「…」
「…何、その熱視線」
「…モフモフしたい。ツノがツボだ」
「ざけんな変態」
「…」
珍しく間のないツッコミに、セレンは無表情にサテを見ていた。
「キング、いじめられた。もう立ち直れない。心折れたもう無理」
「よしよしいいコだなセレン君」
勝手な告げ口にキングは笑ってそういなす。
「最近小動物度が上がってきたセレン君に質問です。俺のジョーぉっブは何でしょーか?」
「腹黒ドS鬼畜調教師と書いて獣使い」
「ちなみに違うぜ船に帰ったら覚悟しろ」
セレンはチラ、とフードの下からキングを見上げた。
「…怖いです」
「だろーな小動物」
吹雪に負けず、セレンは少しだけキングから離れた。
「つか、アスタぁ、前みたいにオーブで移動しようよ」
「いや、無理なの。いわばこのフィールド全体ダンジョン化しちまってるから、ダンジョンの中で移動使えないのは知ってるだろ?」
「なるほどねぇ」
無理言って悪かったよ、とへリオは至極楽しそうに言った。
「…っ」
そのとき強く吹いた風。
キースは僅かに足を踏み外し、体から一気に冷汗が噴き出る。
「うわぁっ!?」
ギュッと目をつぶっても、雪に倒れ伏す感覚はない。
「おい、大丈夫かよ?」
「…」
すぐ後ろにいたセレンが、飛ばされかけたキースを支えたらしい。
「うん。ごめんね、セレン。ありがと」
「…」
セレンは頷きつつ、抱えたキースをそっと離した。
「この先、さらに風つよくなるぞー」
アスタがそう怒鳴った。
確かに吹雪は強くなってきている。
小柄なキースが吹っ飛ばされたのも無理はない。
「おっと」
飛んできた氷塊に、へリオは盾をふるった。
「…俺が前に立つ」
「いける?俺も立つよ。アスタ下がって。ここやっべーや」
頷きつつ、アスタは立ち位置をへリオに譲った。


