セレンが商品を売り切り店を畳んだ頃には、もう日が沈みかけていた。
リバイテラスの町に沈む夕焼けが美しい。
オレンジに沈んだ街に、セレンは空を見上げながら歩いていた。
「…」
畳んだテントを入れたリュックサックが重い。
もう帰ろうか。
でも、あともう少し稼いでおきたい。
船への奉納金があと100万ドルほど足りないのだ。
荒稼ぎできるこの星で、なるべく稼ごうと思ったのだが。
「…あと一回」
頑張ろう、と前を向いたところで、誰かに腕を引っ張られた。
「セーレン君」
「へリオ」
クル、と振り返るとへリオが笑っていた。
「…なに」
「まだかえらねぇ?」
「…ああ」
そっか、と笑ったへリオはそれでも手を離さない。
「…」
「…」
「離せ」
「うーん、調子悪そうだな」
「…」
グッと、セレンは思いっきり手を引いた。
「帰ろ」
にこっと笑ったへリオに、セレンは黙って背を向けた。
「…日が沈むまでには帰る」
「ん」
へリオは笑ったままだった。
「待ってるな」
「…」
俯いたのかもかもしれないけど、頷いたんだと信じてへリオは嬉しそうに微笑んだ。


