「さぁってと」
それぞれの麻袋の中に羽根や肉を詰め込んだところで、アスタが言った。
「新人さんだと思って三人で行ってたけど、大物狙った方が効率いいな」
「…うん。ちょっとドラゴンあたり狙ってみる?」
「ドラゴン?羽根あんの、あんまふわふわなイメージねーけど」
へリオに、サテが答える。
「…目的はドル稼ぎだからね。ドラゴンの爪っていいんだ」
「なぁるほど」
「ドラゴンはこんなとこじゃなくてダンジョンにいるんだ。そこまで移動しよう」
アスタはそう言って、またオーブを輝かせる。
「…うわー」
岩でできた巨大なキャッスルが、荒野にそびえたっていた。
「中は普通に進むぜ」
アスタはそう言って、重い木の扉を開けようとした。
「おーい、待って!!アスタ!サテ!!」
「…リンネ」
現れたのは緑髪の長髪、勝気な美女(?)。
豪快に笑いつつ、骨付き肉を大口で食らうリンネ。
棍棒片手に赤い宝石のグローブを付けて、頭にはターバンがたなびいている。
「…ん?リンネ、その手袋…」
「ああ、そこの男の子から買った!!今は料金代わりに素材集めを手伝ってるところ!!」
リンネの背後から現れたのは。
「セレン!?」
「…商売職の特権だ。騙されやすいやつは騙す」
何故か灰色の巨大なフード付きパーカーを着ている。
裾が長く膝下10cm、結構ふわふわだ。
「どうしたんだよその恰好…」
「ここの商人の衣装だ。奴隷服っぽいからきてみた」
動機の部分は聞き流し、へリオはふぅんと相槌を打つ。
「てなわけで、ボスドラゴン行こう!!」
「…商人君一人連れて?」
リンネに、サテはそう言った。
「…無理だよ…いつも7人パーティーで挑んでるじゃない…」
ねぇアスタ、とサテが同意を求めた。
「…」
「…アスタ、聞いてる?」
「…あ、あああわりぃうんそうだな無理かもしれねーな!!」
「…うん」
パッと赤く頬を染めたアスタは慌ててそう言った。
「問題ないよ。彼も戦うらしいし」
「職業は?」
アスタの質問は、セレンに向けられたものだったらしい。
「魔術猟師」
セレンはどこからともなく猟銃を取り出しそう言った。
「大丈夫なの?魔力は…」
「ここの星の魔力は魔力じゃないんだ。斬、打、突、魔。属性の一つだ」
「ん?なに?魔力って?」
首を傾げたリンネに、なんでも、とセレンが呟く。
「…それでも無理だよ。レジェンドでも5人はギリギリだし…」
「問題ないと思うけど」
「…何言ってるの…リンネ」
サテが呆れたように言ったが、へリオは頷いた。
「余裕だよ。ステータス異常商人さんがいてくれたら」


