「軽くダンジョンでも行くかな」

武器屋で手に入れたナイフと軽盾を両手に、空の麻袋。

へリオはそう呟いた。


この町はこの星で最も大きな大陸の入り口にある。

この大陸は海岸を切り立った崖に囲まれ、唯一の出入り口がこの町、というわけだ。

西(ウエスト)は砂漠。

東(イースト)は森林。

北(ノース)は雪山。

地下(アンダー)は火山内部。

それぞれの気候に適応した獣(モンスター)が住んでおり、住人と旅人(プレイヤー)はそれを狩って、素材屋で売る。

ちなみにセレンのように露店を開く商人もいる。

セレンは先ほど東の森に居た。

鉱石やフルーツをものすごい勢いで狩っていったらしい。

そしてソロ(単独)だ。

「パーティーさがそ」

短時間の滞在の為ギルド(プレイヤーが所属する組織)には入れないが、きっとフリーでも誰か募集しているだろう。

案の定広場にはうろうろしている二人組。

「こんにちは、目的地は?」

二人は振り向いて、背の高いオレンジ髪の方が答えた。

「西の砂漠。ちょっと狩りに行くんだ。羽毛を集めて、布を織ってる職人に売るんだよ」

タイル柄の紫のコートに麻の大きな袋とオーブを浮かせている。

「入れてくれる?あんま装備ないんだけどさ」

「ああ、いいぜ。な、サテ」

サテと呼ばれた少年は袖の長い白服に、薄紫の髪。

フードにヒツジのような角が付いていて、金属の柄のついた杖を持っている。
「…僕はいいよ。君物理アタッカー?」

「ん」

「…ちょうどいいや。よろしくね、僕は回復魔導士のサテ」

「俺は呪術師アスタ。魔法ばっかで困ってたんだよ。よろしくな」

「俺はへリオ、よろしく」

「じゃあさっそく行くか」

「…有翼種狩りに」

三人は、ゲートをくぐった。