___ぱっぱかぱーん…


陽気なBGMが鳴り響く大きな町“リバイテラス”。

俗に言う始まりの町に、セレンはいた。

「お姉さんいかがですか、アマテラシのブレスレット。色々なファッションに合わせちていただけます…」

ついでにペンダントも売りつけると、セレンはふっと息を吐く。

「…いいな、露店」

飛ぶように売れていくアクセサリー。

作りためたシュシュは既に売り切れ間近となっていた。

サンドイッチにおにぎりもよく売れるし、フルーツは特に売れ行きがいい。

ガラス製の弓矢も完売しかけていた。

「…露店、いいな」


露店がいいのではなく、セレンの声が素晴らしいのだが、それに気が付くこともなく、セレンは順調に紙袋に商品を詰めていく。

「…はい、8065ドルになります」

順調だ。


「よ、セレン。結構売れ行きよさそう?」

「ああ、露店っていいな…」

「…ああ、露店がね」

「いらっしゃいませ、お嬢さん。木漏れ日のトパーズなどいかがでしょうか、特別に割引して差し上げます」

ブローチ、お似合いですよと。

そう声をかけられた少女は真っ赤になって頷いて、おいくらですかと囁いた。

「420ドルになります。そちらのリングも合わせていかがでしょうか。二つ合わせて730ドルのところ、680ドルでお売りします」

「お、おお願いします!」

「かしこまりました、ありがとうございます」

フードで顔が隠れているものの、差し出された手は何故か優しい。

商品を受け取って、包装して代金を受け取ると、セレンは軽くお辞儀した。


「…で、何で売れるって?」

「露店の雰囲気」

「…」

また迎えに来るな、と。

言い残してへリオは雑踏に消えた。