外のうだるような暑さとは違い、図書館の中は涼しくて快適。


朝からしつこい程に携帯を鳴らし続けた奴は、何事もなかったかのように読書している。


「……お前って、案外、しつこい奴だったんだな…」


「お前が時間守らないからだろ。午前中の約束だから、早めにと思ったのに…」


「だからって、図書館が開く時間と共に行こうだなんて…」


「待たせたら失礼だろーが。……てゆーか、黙れ」


……無理矢理だ。


……逆らえない。


……何で、こんなのと友達なんだろ?


隣のコイツは、『芥川を再読する』と言い、何冊も積み重ねている。


……そうだ、コイツは見かけに寄らず、インドアなんだ。


だから、きっと、彼女に会っても、恥ずかしくて、一人では何も出来ないから俺を呼んだのか?


……だとしたら、可愛い奴だな。