ノーティーアップル




「それじゃあ改めて乾杯。
吉田さんへのお詫びもありがとね」

薄いグラスをぶつけると心地のいい高い音が響いた。

「すごいびっくりされちゃった。
そりゃそうだよね、私たち会社じゃほとんど話したりしてないし。
実は水面下で動いてたんですーって告白した時の吉田ちゃんの顔、見せてあげたかったなー。
ほんと面白かったんだよ」

子供みたいに彼女が笑った。

「僕自身もびっくりしてる。
正直会社の人とこんな仲になった時は後悔しかなかったし、ましてや君のことが好きって気付いた時には絶対に誰にも言えないなとも思ってたから。
他の会社の人が知っても信じてもらえないかもね」

「そうだよ、凪くんて最初はもう少し冷めてる人なのかと思ってた。
何でも割り切っちゃうというか、話してても距離感感じちゃうというか。
だから私も寂しいなって思うときが結構あったんだけど、根はちゃんと向き合ってくれる人でよかった」

冷めている
人からよく言われる言葉だ。
個人的には冷めてるのではなくて、人に興味がないだけだと思ってたのだけど。
彼女に対しては違うらしい。

「君のこと色々知りたいって思ってるよ、大丈夫。
僕らお互いのことあんまり話してなかったから、今日はゆっくり話したいな」

お酒の力を借りているとはいえ、僕の口から到底出るとは思えない言葉に自分でも笑いそうになった。

「いいよ、私も凪くんについて色々知りたい」

彼女もほろ酔いなのだろうか。
少し赤らんだ頬と潤んだ目がたまらなくセクシーだ。