ノーティーアップル




重い扉を開けて、見慣れた顔に迎えられる。

「こんばんは。そして昨日はすみませんでした」

彼女の隣に腰を下ろし、バーテンダーに頭を下げた。

「あのあと凪くんのおごりで一杯飲んで、タクシーで帰られたからこっちは全然大丈夫だったんだけどね…」

「今日うまいこと弁解した私に対しても謝罪はほしいんですけど」

隣で口を尖らせながらからかうように彼女が言った。

「ごめんごめん、ありがと。
僕も彼女と同じので」

彼女の右手にはいつも通りのりんごのカクテル。

「かしこまりました」

「お兄さんには昨日のこと話してあるから。お礼も言ってあるよ」

「おめでとう、少しはお役に立てたならよかった」

爽やかなバーテンダーがとびきりの笑顔でグラスを差し出してくれた。

「ごゆっくりどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

土曜の店内にはそこそこ人がいて、彼は忙しそうだ。
まあ彼女の方から少し話ができたならよかった。