ノーティーアップル



ボトルワインが届いたところで、本題が始まった。

先に切り出したのは珍しく僕の方。


「そもそも何で昨日はあんなことになったの?

青木がいるって教えてくれなかったのに悪意しか感じないんだけど」

赤ワインを一口飲むと、口の中に渋みが残った。

目の前の男も眉間に若干シワをよせて、渋い顔をしている。


「その件についてはごめん。
あとあと説明しようとは思ってたんだけど、先週いきなり今野から連絡が来てさ。
青木が親の紹介で知り合った男から結婚前提の交際を迫られて、悩んでるって話を聞いて。
決断するにしきれなくて、一回凪に会いたがってるんだけど飲み会セッティングしてくれない?って頼まれたんだよ。

俺は結局詳しいことをあんまり聞いてなかったけど、付き合ってた当時、中途半端な別れ方したんだって?
だからそのことが気にかかって、スッキリさせたかったんじゃないかな」

昨日あれだけ話したのにそんな話なんて全く聞かなかった。

…当たり前か、敢えてプライベートな話は振らなかったんだから。

昨日青木が僕にぶつけた怒りの理由が何となくわかった気がする。