ノーティーアップル

翌朝。


目を覚ますと待っていたのは可愛い彼女の寝顔と…永井からの不在着信だった。

あー…その後のこと連絡するの忘れてた…


昨日の夜の数時間で色々なことがありすぎて、そもそも連絡どころじゃなかったんだけど。

電話で報告…というのもなんだし、直接会えるかメールを入れるとすぐに返信が来た。

今日の夕方ならあいているということだったので、約束を入れた。


「あ…おはよう」

隣からかすれた声が聞こえる。

「おはよう。よく眠れた?」

「うん、夢じゃなくてよかったと思ってるとこ」

朝一で甘いことを言われて思わず口角が上がってしまった。

「心配しなくても大丈夫だよ。
…りこ、今日の予定は?」

少しためらいながら初めて下の名前を呼んだ。
歯がゆいけど悪くないな。


「改めて名前で呼ばれるの、照れるな…けど嬉しい」


また僕の代弁をしてくれた。
愛おしくなって髪を撫でる。


「あー幸せな朝だなぁ。

今日は特に予定はないよ。
だけど…昨日1人でバーに置いてきちゃった吉田ちゃんにお詫びすることになるかもな~だれかさんのせいで」


意地悪そうに彼女がにやっと笑いかけた。


「ごめんって。
りこが嫌じゃなきゃ付き合ったこと隠さなくてもいいんじゃないかと思うんだけど。
うちの会社、社内恋愛に関しては寛容だし」

「うん。私もそうするつもりだった。
吉田ちゃん驚くかな」

楽しそうに声をはずませる彼女。

まさか自分が社内の女の子と付き合うことになるなんて夢にも思っていなかった。
オフィスラブどころか会社の人とのプライベートな付き合いですら面倒だし極力避けたかったのに、この子はそんな考えも容易に取り去ってくれるんだ。