「自分本位にしろって君の言葉に従ったんだけど、ちょっと会社の人の前ではやりすぎたかな…」
タクシーの窓から、大通りを歩く人の流れを見ながら呟いた。
「もう知らない。
そもそも今日は飲み会だったんじゃないの?メールの返信もしてくれなかったじゃん」
視線を右に移すと、彼女に睨まれた。
「ごめんごめん。図星で何も言えなくて…」
こういうときに正直に言ってしまうのは悪い癖だなと自覚はしている。
けど、自分はそんなに器用な人ではないということは20数年間生きてきて理解していた。
「あーもう、凪くんのそういうところムカつく。ほんと良くも悪くも正直だよね」
「…でも」
弁解を始めようと思ったところでタクシーが止まった。
止むを得ず中断して、タクシーを降りる。
一瞬運転手と目があったが、気まずそうに微笑まれた。
彼の目にはこの光景がどんな風に映ったんだろう。

