ノーティーアップル



「偶然だね。仕事帰りに飲んでたの?」

彼女のおかげで気持ちが動転しても落ち着いた声を出すのには慣れていた。

「そうなの。他の子達も交えて飲んでたんだけど、りこが飲み足りないからもう一杯付き合ってって。
彼女オススメのバーに連れてきてもらったの」

一緒にいた同期がおしゃべりな子でよかった。

そしてオススメのバーという響きににやけそうになってしまった。
元はと言えば僕が紹介したのに。


それを聞いて少し恥ずかしそうな彼女。それを隠すかのように口を開いた。

「2人だしテーブル席にする?」

「いや、凪くんもいるんだし3人で飲めばいいんじゃない?」

「あ、僕はもうそろそろ…」

今日は僕の方が選択肢を作った。こんなことを言ったら彼女がどんな反応をするか、気になったから。