ノーティーアップル



1分も経たないうちに懐かしい飴色のカクテルが差し出された。


口に含むと、スパイスの刺激の後にふんわりりんごと紅茶の甘みが残る。
僕が求めていた甘さだ。

「今日はお一人なんですね」

珍しくカウンター席に他の客がいなかったこともあり、バーテンダーが僕に話しかけてきた。
普段なら少し煙たがるところだけど、今日はなぜか素直に話をしたいと思えた。

「少し飲み足りなかったんで、飲み会帰りに寄ってしまいました」

「彼女も呼べばいいのに」

今度は少し意地悪そうに微笑まれた。

「いや、いいんです。この前の会話の内容からお察しだと思うんですけど、僕ら付き合ってるわけじゃないんで。
あんまり自分から声かけたりできないんですよね」

驚くほど素直な言葉だった。


他にこのことについて話をできる人がいないからだろうか。
それとも、このバーテンダーが聞き上手だからなのだろうか。

どちらにしろ、一度正直になると言葉が止まらなかった。