こちらに向けられた“モノ”…ナイフを私は、睨みつける。


「ねぇ、タク…忘れたの?」


「何をだよ」


あぁ、やっぱり覚えてないのね?


「私…記憶が戻ったんだよ?」


その言葉に、タクはそれが何だとでも言うように、顔を歪めた。


「私の家、知ってるよね?」


タクがピクリと動くのがわかる。


「そ、それがどうした!」


私はタクに向けて、大きな溜め息を零した。


「あーあ。せっかく逃げるチャンスを上げたのにね?後悔しても知らないから」