4人目の100点は一体誰なんだろうな。

そう思いながら氏名欄を見てみたら、
「あっ…」

荻原だった。

彼女のクラスである6組の採点中だったことを僕は思い出した。

――わたしが中間テストの数学で100点を取ったら、先生はわたしのことを好きになる…にしませんか?

テスト前に荻原と交わしたその賭けが頭の中によみがえった。

あの賭けは、まだ荻原の中で続いているだろうか?

この前、僕は荻原に彼女の気持ちを否定することを言ってしまった。

――君が僕に抱いているその気持ちは恋じゃなくて、僕への憧れじゃないのか?

そう言った僕に、彼女は戸惑ったような顔を見せた。

何が言いたいんだと言う顔をしている荻原に、僕はこう言った。

――もう少し言うならば、恋に恋をしているだけなんじゃないかな?

荻原は言い返そうとしなかった。