結果的には何とか逃れることができ…そうかも知れない。

中間がダメだったら期末、期末もダメだったら2学期の中間、それもダメだったら…と言うように繰り返せば、どうにかなるかも知れない。

そうなったら、荻原は僕に抱いている恋心をあきらめてくれるだろう。

いや、そうなって欲しい。

と言うよりも、荻原はどうして僕に恋をしているんだ?

恋…と言うよりも、僕に憧れのような感情を抱いていると言った方がいいのかも知れない。

恋に恋してる、とは本当によく言った表現だなと思う。

憧れのような感情を抱いている荻原は、それを恋だと勘違いして舞いあがっているのかも知れない。

「先生」

荻原に名前を呼ばれ、僕は視線を向けた。

「約束、絶対に忘れないでくださいね」

そう言った荻原に、
「はいはい、覚えますよ」

僕は言い返したのだった。