「ち、千秋ちゃん!」

顔を真っ赤にしたわたしに、千秋ちゃんはケラケラと笑った。

でも先月の卒業旅行で先生と結婚をすることを約束したと言うのは本当だけどね。

旅行の後で梨代ちゃんにわたしが20歳になったら結婚することを話したら、
「そう、よかったわね。

結婚のことで何か困ったことがあったら、いつでも相談に乗るからね」

電話越しで梨代ちゃんは言ってくれた。

「そろそろ体育館に向かうぞー」

廊下から古畑先生が顔を出して声をかけてきた。

「行こうか」

「うん」

わたしたちは椅子から立ちあがると、廊下を出た。

出席番号順に整列すると、体育館へと向かった。

こうしてクラスのみんなと過ごすのも、これで最後か。

3年間過ごした校舎の中を見ながら、わたしはそう思った。