「そうそう、そうやって…」

「どうやってって…きゃあっ!」

ズデンと、美咲は雪のうえで滑って転んでしまった。

「イタタ…」

美咲は躰を起こすと、頭についた雪を手で払い落した。

スキーウェアの下に巻かれているピンクのマフラーは去年のクリスマスイヴに僕がプレゼントしたものである。

そう言っている僕も美咲がプレゼントしてくれたネイビーのマフラーを身につけているのだけど。

「あーっ、難しいなあ…。

雅仁さん、もう1回お願いします!」

美咲はスクッと立ちあがった。

「そう言ってくれるのはありがたいんだけど、少し休憩しようか?

何回も転んだせいで躰が冷えてしまっているだろう」

わかっていたことなのだが、本当に美咲は運動が苦手なようだ。

そう言った僕に、
「そうですね」

美咲は首を縦に振ってうなずいた。