恋をしよう!

我ながらパッとしない言い訳だけど、これで美咲に話が通じるなら安いものである。

「事情、ですか?」

そう聞き返した田村に、
「例えば…親御さんに交際を反対されたとか」

僕は答えた。

もちろん、そんな理由で美咲と別れようと思っていない。

「そう言うものなんですか?」

訳がわからないと言う顔で聞き返した田村に、
「よくわからないけれど、彼氏の方で何かしらの事情があることは確かなことだと思うよ。

どうしても別れを告げないといけない、やむを得ない事情ってヤツが」

このやむを得ない事情と言うものが美咲に通じますように…と、僕は心の底から願った。

その時、
「失礼します」

数学準備室に誰かが入ってきた。

古川だった。

何でこんな時にくるんだよ…!

僕がどうにかして事情を説明している時に、何でやってくるんだよ…!

古川は相当なまでに僕のことを信用していないようだ。