「着信履歴があったから電話したんですけど、何かあったんですか?」

そう聞いたわたしに、
「えっ…ああ、そうだったかな」

先生は言った。

「それで、どうかしたんですか?」

「えーっと、何かあったけど忘れた」

そう答えた先生に、わたしはずっこけそうになった。

先生って、意外とおちゃめなところがあるのね…。

でも先生の新たな一面を知ることができたからいいけれど。

「何を笑ってるんだ?」

訳がわからないと言うように聞いてきた先生に、わたしは自分が笑っていたことに気づいた。

「先生は世界中の誰よりも魅力的な人だなって思って」

そう言ったわたしに、
「お、大人をからかうんじゃありません!」

先生が戸惑いながら言い返した。