恋をしよう!

荻原の顔に視線を向けると、彼女は優しく微笑んでいた。

「わたしはそう言うのに興味ありませんから。

それにわたしの将来の夢は…」

荻原はそこで言葉を切って僕を見つめると、
「先生のお嫁さんですから」
と、言った。

「なっ、わっ…!?」

カシャーン!

動揺のあまり、フォークが床のうえに落ちた。

な、何てことを言ったんだ!?

僕の聞き間違いじゃなかったら、荻原は“お嫁さん”と言ったはずだ。

「先生、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫…」

僕は落としたフォークを拾いあげた。

それにしても、よかった。

実母が女優なのに、荻原は芸能の世界に興味がないようだ。

危うく、おかしな方向へ想像しそうになってしまった。