恋をしよう!

別に飲んだり食べたりしてもいいのにな。

そう思いながら、
「ずいぶんと若い時に芸能界を引退したんだなって思ったよ。

“女優の登竜門”と言われる朝ドラで有名になったのに、すぐに引退だなんて何だかもったいないなって思ったよ」

僕は言った。

「んー、そのことなんですけど…母曰く、“自分に立川花代以上の演技ができる自信がなかったから”って言う理由で芸能界を引退したんです。

まあ、この間まで舞台女優として活動していたのに、明日から朝ドラでヒロインを演じることになったら誰だって戸惑いますよね」

荻原は苦笑いをした。

「朝ドラの後で民放ドラマの主演の話がいくつかきたそうなんですけど、母はそれを全て断ったそうです」

「へえ、そうだったんだ」

荻原はポテトサラダを口に入れると、チラリと上目づかいをするように僕を見た。