上野と安部と希望が帰ったことを確認すると、
「今年で8年目になるんだな」

雪音の写真に向かって、九重は呟いた。

写真の中の雪音は微笑んでいた。

雪音と再会して家族になったその年に、彼女は23歳と言う短い生涯を終えた。

再会した時は赤ん坊だった五十鈴は小学2年生になり、家族と『ニコニコ横町』のみんなに囲まれながら元気に育っていた。

「君が生きていたら、31歳か…」

九重はフッと笑った。

「君が残してくれた娘は、今日も元気だよ。

俺も何年か経ったらそっちに行くかも知れないけど、それまでは五十鈴と一緒にいるからな」

写真の中で微笑んでいる雪音に向かって話しかけた後、いつものように店じまいを始めた。

☆★END☆★