泣いている雪音の肩を抱き寄せると、
「雪音、俺と家族になろう。

五十鈴と一緒に、小暮家の一員になってくれ」

僕は言った。

「うん…」

雪音は泣きながら首を縦に振ってうなずいた。

「なる、九重と家族になる…」

雪音が返事をしたことを確認すると、僕は彼女の顔を見つめた。

それに気づいた雪音が目を閉じた瞬間、僕は彼女の唇に自分の唇を重ねた。

やっと、帰ってきてくれた…。

やっと、僕のところに戻ってきてくれた…。

夏の日に出会って、いなくなって、また夏の日に我が子と一緒に帰ってきてくれた。

唇が離れたのと同時に、僕らは見つめあった。