「もう、俺から離れて欲しくないんだよ…」

情けないことに、僕の目から涙がこぼれ落ちた。

「九重…」

僕の名前を呼んだ雪音の目からも涙がこぼれ落ちた。

「――私で…私でいいの?」

「うん」

「すぐにいなくなっちゃうんだよ?」

「それでも構わない。

たった短い間だけでも、君と家族でいられるなら」

「五十鈴を残して、いなくなっちゃうんだよ?」

「俺がずっとそばにいるから。

五十鈴のことも、全部俺が引き受けるから…」

「九重…!」

雪音が泣きながら僕の名前を呼んだ。