「最後って…雪音がいなくなったら、五十鈴はどうなるって言うんだよ?

それに、今は何を…」

余命1年を宣告されてしまった以上、もう時間がないのはあきらかである。

「今ね、尼寺――と言うよりも、駆け込み寺って言った方が正解かな――でお世話になっているの。

そこで訳あって夫の元から逃げてきた女性たちと一緒に生活してる。

私の病気のことも知ってるから…」

「雪音」

雪音の話をさえぎるように、僕は名前を呼んだ。

「――最後だなんて、言うなよ…」

僕は腕の中にいる五十鈴に視線を向けると、雪音に視線を向けた。