「俺も抱っこしていい?」

そう聞いた俺に、
「うん、五十鈴もお父さんに抱っこされて喜ぶと思うから」

雪音は嬉しそうに首を縦に振ってうなずいた。

俺はベビーカーから五十鈴を抱きあげた。

初めて抱いた我が子はミルクのような香りがしていて、フワフワとしていた。

「変な感じだな…。

やっと雪音と再会したかと思ったら、我が子とも会うなんて」

腕の中にいる五十鈴はよく眠っていた。

「最後にその子を九重に会わせて、抱かせてあげたかったの」

雪音は悲しそうに言った。