「家族にも誰にも言わないで、学校も退学して、わずかな荷物だけまとめて出て行った」
「そうか」
雪音はベビーカーで眠っている赤ん坊に視線を向けると、
「その直後に妊娠してることがわかった。
お腹の中にいる子供は、九重の子供だってことがすぐにわかった」
と、言った。
僕はベビーカーの赤ん坊に視線を向けた。
「男の子?」
そう聞いた僕に、
「ううん、女の子。
5月10日に生まれたから、“五十鈴”って名づけた」
雪音は答えた。
「イスズちゃんか…」
「九重と同じ、数字が入ってる名前だよ。
生まれてくる子供は九重と同じ数字の名前にしようって決めてたの」
雪音は赤ん坊――五十鈴の頭をなでた。
「そうか」
雪音はベビーカーで眠っている赤ん坊に視線を向けると、
「その直後に妊娠してることがわかった。
お腹の中にいる子供は、九重の子供だってことがすぐにわかった」
と、言った。
僕はベビーカーの赤ん坊に視線を向けた。
「男の子?」
そう聞いた僕に、
「ううん、女の子。
5月10日に生まれたから、“五十鈴”って名づけた」
雪音は答えた。
「イスズちゃんか…」
「九重と同じ、数字が入ってる名前だよ。
生まれてくる子供は九重と同じ数字の名前にしようって決めてたの」
雪音は赤ん坊――五十鈴の頭をなでた。



