「ああ、これ?」

僕の視線がベビーカーに向けられていることに気づいた雪音は、日よけをそっと下ろした。

そこにいたのは、かわいらしい赤ん坊だった。

赤ん坊はよく眠っていた。

「その子…?」

と言うか、子供がいたってどう言うことなんだ?

戸惑っている僕に、雪音はベビーカーからそっと赤ん坊を抱きあげた。

「信じてもらえないかも知れないけれど…この子のお父さんは、あなたなの」

雪音が言った。

「お、俺?」

赤ん坊の父親が俺って…?

彼女から何を言われたのか、全く理解ができなかった。