僕は修羅場を続けている彼らに視線を向けた。

「俺が何したって言うんだよ!?」

怒鳴った男に、
「別に」

女は早く話を終わらせろと言うように答えた。

それはお互い様である。

暑いし、テレビが見たいから早く帰りたいって言うのに…。

修羅場から視線をそらすように空を見あげると、オレンジ色の太陽が沈んで行くところだった。

「メールだけで“別れましょう”と言うのはあんまりじゃないのか!?」

怒り心頭の男に対し、女は冷静である。

いつ終わるんだよ…。

そう思っていたら、
「なあ、答えろよ!

何で“別れる”なんて言ったんだよ!」

男が女の二の腕をつかんできた。

「ちょっと離してよ!」

女が男の手を振り払おうとするものの、力の差ではかなわない。