えっ…?

そんなはずはないと思いたかった。

でも、僕の名前を呼んだその声には聞き覚えがあった。

だけど、間違いかも知れない。

期待とわずかな恐怖を胸に感じながら、僕は振り返った。

「――雪音…」

目の前にいたのは、雪音だった。

会いたくて仕方がなかった、僕の好きな人。

「久しぶり」

雪音はそう言って、静かに微笑んだ。

夢じゃないんだ…。

目の前にいるのは、本物の彼女なんだ…。

そう思ったのと同時に、雪音の足元にベビーカーがあることに気づいた。