何でなんだよ…。

どう言うことなんだよ…。

学校も退学したうえに、電話とメールも繋がらないってどう言うことなんだよ…。

まるでそこに存在しなかったと言うように、雪音は僕の前から静かに姿を消してしまった。

残暑が厳しい9月の日差しに、長かった夏が終わるんだなと僕は思った。

それにあわせるように、雪音は消えて行った。

何も言わずに、跡形もなく、音も立てずに、彼女は姿を消した。

――まるで、雪が溶けて行くように…。

「――雪音…」

そう呟いた名前は誰にも聞かれることなく、周りの騒音と残暑の太陽によってかき消された。