「そんなことよりも、九重さん聞きましたか?」

横山が言った。

「何を?」

僕は訳がわからなくて、横山に聞き返した。

「平雪音、自主退学したらしいですよ」

「――えっ…?」

横山から何を言われたのか、僕はわからなかった。

「た、退学…?」

呟くように聞き返した僕に、
「病気になったとか妊娠したとか、何かいろいろと噂が飛び交っているんですけれども…九重さんはどう思いますか?」

横山が言った。

「さ、さあな…」

僕はジーンズのポケットからスマートフォンを取り出すと、電話帳から雪音の電話番号を出した。